こちらの内容は「シャオミ Xiaomi A Pro 43 2025を分解してみた①」の続きになります。
裏ブタをパカッと外したところから続けていきましょう。
裏ブタを外すとこのようなレイアウトで、中央部から基板が現れました。
最近のテレビはどれも同じような構造ですが、チューナーなどが搭載されていない分、さらにシンプルなものになっていますね。
右スピーカーの下を見ると、黒いアンテナのような部品が見えています。
型式はRX-WZ6C BT-V01となっており、Bluetoothのアンテナですね。
このテレビはリモコン通信にBLEを利用しており、Bluetooth機能は必須となっています。
アンテナ自体はスポンジのような素材で板金からの距離が確保されており、感度を落とさない工夫がされています。
ほかにもWi-Fi用アンテナが2基搭載されており、合計で3基のアンテナ構成となっています。
では中央部の基板周辺を確認してみましょう。
基板自体は奥の鉄板に固定されていますが、これは液晶パネルASSYの本体部になります。
大昔、液晶テレビと言えばプラスティックのフレームに液晶パネル、金属フレーム、電源基板、メイン基板といった構成でしたが、今やこのような簡単な構造になっています。
液晶パネルはTCL子会社の華星光電(CSOT)製で、型式はL43MA-STWN-CSOTとなっています。
このテレビ専用型式となっていますが、パネルサプライヤーは複数存在する可能性がありますね。
続いてテレビで重要な音をつかさどるスピーカーをチェックしてみましょう。
スピーカーのスペックは、6Ω8Wとなっており、カタログスペックと一致します。
スピーカー自体はゴムブッシュを介して裏ブタに取り付けされています。
スピーカーとスピーカーグリルの接触面には発泡系のシール材で隙間ができないように工夫されています。
またスピーカーグリルのテレビフレーム接地面にはモルト材が貼り付けされており、ビビり音の対策がされているようです。
メイン基板の下部です。
ここは主にオーディオ系と無線系の部品が搭載されています。
無線系は3アンテナ構成となっており、Bluetooth用が1系統、Wi-Fi用が2系統となっています。
ノートPCなどと同じような構成ですね。
搭載される無線モジュールはAI-Link Technology製のWF-M63B-USX3です。
スペックはBluetooth2.1+EDR/4.2/5.1に加えて、IEEE 802.11a/b/g/n/acの2.4Ghz/5.0Ghzに対応しています。
オーディオ用のデジタルアンプはSuzhou Zhisheng Semicon-ductor Technology製のACM8625Pです。
スペックは33W x2chのステレオClass-Dアンプです。
基板上の電解コンデンサをチェックしてみましたが、どこにも日本メーカーの製品は見当たりません。
デジタル回路周辺のコンデンサは、Changzhou Huawei Electronics製。
スイッチング電源回路付近のコンデンサは、CAPXON ELECTRONIC製。
スイッチングトランス。
メーカーはわかりませんでした。
こちらもスイッチングトランス。
半田ボールが2か所ほど乗っており、基板組み立ての品質面が気になるところです。
電源部のMOSFETはSilan Microelectronics製の60R190D4が搭載されています。
スペックは20A 600Vとなっています。
こちらのMOSFETですが、チップ上部に面白い構造物が搭載されていました。
一瞬カレントセンサー?と思いましたが、実は全く違うもの。
シルクはHSBとなっていますので、Heat Sink Barが正解でしょう。
MOSFETの熱を逃がすためのヒートシンクです。この筐体内でどの程度の熱対流があるのか不明ですが、効果はあるのでしょうか。
こちらは、ウエノコイル風のコイルです。
ウエノコイルについては、こちらのYoutube動画が面白いので是非目を通してみてくださいね。
見た感じ、巻き方が雑ですね。
いわゆるバチモンのウエノコイル風コイルです。
ダイオードブリッジはYangzhou Yangjie Elec Tech製のYBSM6010です。
スペックは1000V / 6Aとなります。
メイン基板の電源部です。
半田ボールが目立つ基板ではありましたが、それ以外は比較的キレイに組みあがっているように感じました。
メインの電解コンデンサはもう少し大きなサイズでも対応できるような空間がありますね。
もしかして、コストダウンで小型化された!?
ちなみにこちらのコンデンサも、CAPXON ELECTRONIC製。
LEDバックライトは基板パターンの半分だけ使われていました。
おそらくもっと大型のパネルを搭載した機種と共用の基板設計になっているのかと思います。
基板裏面を見ると、プラスの表示がありLED DRIVER用としては未使用部分も共用回路となっていました。
こちらはT-CON基板です。
部品番号はST4251D02-1となっており、半田ボール等も見当たりません。
T-CONのチップは華星光電(CSOT)製のCS603が搭載されていました。
またメイン基板には、FOR TAGと記載されたコネクタがあり、謎のフレキケーブルが装着されていました。
基板裏面にはIDと書かれたシルクが多数あります。
フレキケーブルを外してみると一部に基板パターンが引いてありました。
これはおそらく機種を切り替えるためのジャンパピン的な部品だと思われます。
普通の感覚であればジャンパピンやゼロΩ抵抗などで切り替えを行いますが、フレキシブルケーブルを使うのは初めて見ました。
よく考えられた仕掛けだと感心しました。
基板の他の部分を見てみると、TVチューナーが搭載できそうなパターンがありました。
他の国向けなのか、別モデル共用なのかは不明ですが、チューナー搭載まで見据えた構造となっているようです。
基板裏面を見ると、LNB_PWやRF IN(S2)、RF IN(T2)と書かれたシルクがあるため、前者はBS/CS用、後者は地上波用ということで間違いないですね。
基板裏面を見渡してみましょう。
一部にNHKの某キャラクタのようなパターンがありました。
こちらにも、NHKの影響が・・・
今回の基板はこのようなパターンがたくさんありますが、おそらくおそらくアレスタ代わりの放電ギャップだと思います。
電源事情の悪い国では必須なのだと思いますが、部品としてアレスタを搭載しないのが面白いですね。
最小のコストで最大の効果を得るといったところでしょうか。
基板には沢山のシルクが印字されており、見た目に楽しく、解析もやりやすい、そんな印象を受けました。
最後は、VESAマウントとはちょっと違う、壁掛け金具のビス穴です。
こちらのテレビ、コストダウンの成れの果てといいますか。。。
金属での固定箇所が4ヵ所中1ヵ所のみという構造です。
金属での固定箇所には、裏ブタにも穴が開いています。
しかしその他の部分は穴が開いておらず、このような樹脂による出っ張りがあるのみ。
反対側から見ると樹脂製のネジ穴がありました。
樹脂製です、プラスティックです。
24インチ程度のディスプレイならいざ知らず、さすがに43インチのサイズともなれば、最低でも2ヵ所は金属での固定としていただきたいところ。実際に液晶パネルのフレームを見るともう一か所金属で固定できる構造になっているんですよね。
本当にこの構造で地震大国日本の環境で使えるのか、少々疑問の残る構造でした。
今回は格安のスマートテレビを分解してみましたが、皆さんの印象はどうでしょうか?
やはり安く作るために様々な努力がなされているなぁと感じたわけですが、内部構造を見てみると、あと数千円追加してチューナー付きとして販売しても良かったのではないかと思っています。
久しぶりのテレビ分解でしたが、新しい発想の構造などが見れたので大変満足する結果となりました。
コメント
おもしろいです。SoCが何なのかヒートシンクの下が気になりますね。
[…] (シャオミ Xiaomi A Pro 43 2025を分解してみた より引用) […]